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  • 執筆者の写真ミシェル

自筆証書遺言書保管制度について

更新日:2022年1月7日



今回は、遺言書の一つ「自筆証書遺言書保管制度」についてお話ししたいと思います。

この制度は、令和2年7月10日に開始された新しい制度です。

遺言書とは、自分の死後に自分の財産をどうするのかを指定する書面です。

この制度が始まるまで遺言書の種類は2つでした。

  1. 自筆証書遺言

  2. 公正証書遺言



どちらもメリットとデメリットがあり、

自筆証書遺言

本人の自筆であれば、一人で作成することができ費用はあまりかからず手軽です。

但し、死後に遺言書が発見されない、改ざん、滅失の恐れがあるなどのデメリットがあります。

また、相続開始後、相続人などが家庭裁判所に検認を請求する必要があります。


公正証書遺言

交渉人の関与のもと、2名以上の証人が必要です。

原本は公証役場において厳重に保管され、交渉人が遺言の内容の有効性の確認、助言などを行うため効果が確実です。

費用面では、財産の価額に応じた手数料がかかります。

また、最低3名以上の人間が関わるため、情報が漏れるというデメリットもあります。


今回お話しする3つ目の方法「自筆証書遺言書保管制度」は、自筆証書遺言の手軽さを損なわず、法務局へ保管できるので、デメリットであった改ざん、滅失の危険性が解消されました。また、手間暇のあった家庭裁判所での兼任も必要ありません。



実際に相続発生時に相続税がかかる家庭は全体の8%程度と少なく、多くの家庭では相続税がかからないからと死後の資産をどうするかをきちんと考えない方が多いです。しかし、不動産など分割しにくい資産が多くを占める場合揉めてしまうことがあります。

死後に家族が資産について揉めて仲違いになることは、とても悲しいことです。

ぜひ明確な意思表示をし、家族のために遺言書の作成を考えてください。


まだご夫婦が元気な場合は、「すべてを(配偶者)のものとする」という簡単なものでも、親子の揉め事を避けることができますよ。

 



今回私からこちらの制度をご紹介したお客様の登録に付き添うことになりましたので、お客様の同意を得て一連の流れをご説明させていただきたいと思います。

1約する

(1)予約する

手続きをするための日時を予約します。

予約は、3つの方法があります。

  1. HPからの予約(https://www.legal-ab.moj.go.jp/houmu.home-t/

  2. 電話による予約(福岡法務局遺言書保管所 092-721-4507)平日8:30-17:15

  3. 法務局窓口での予約(福岡法務局遺言書保管所)平日8:30-17:15

必要な申請書などの書式は法務省のHPからダウンロードできますが、不安な方は電話や訪問での予約や確認をおすすめします。お電話で予約された場合は、必要書類などを郵送で送ってくれますよ。(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji03_00051.html

(2)予約した日時に必要書類をもって、法務局へ行きます

弊社は福岡ですので、福岡法務局での方法について写真付きで紹介いたします。


法務局へ入ったら1階の奥の通路に入ります。左側にすぐ遺言書保管所がありますので、係の方にお伝えください。車椅子も準備されていますので、足の悪い方もご利用いただけます。


入ってすぐは、不動産の登記簿謄本や会社の謄本を取得するための窓口があります。ここを左方向へ歩いていきます。

右手に細い通路が出てきます。その中に遺言書保管というところがあるのわかりますか?

進むと一つ目のドアが目的の「遺言書保管」の場所です。 前もって必要書類は準備していきます。

<必要書類>

  • 遺言書

  • 申請書(HPからのダウンロード、電話からの郵送、窓口での受取りが可能です)

  • 本籍の記載のある住民票などなど添付書類

  • 本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証、運転経歴証明書、旅券、乗員手帳、在留カード、特別永住者証明書)

  • 手数料(1通につき3,900円)


基本的に遺言書を書かれた方お一人で窓口へ向かいます。

必要書類の確認を担当の方にしてもらいます。

窓口での対応が終わったあと、登録などで約40分間の待ち時間があります。


その間に同じ1階にある印紙の購入窓口で3,900円分の収入印紙を購入します。

窓口で「3900円分の収入印紙をください」と言っていただければ大丈夫です。

約40分後に呼ばれますので、前の廊下で待機します。

呼ばれたら収入印紙を貼り付け保管証を受け取ります。

保管証には遺言者の氏名、出生の年月日、遺言書保管所の名称及び保管番号が記載されています。

保管証は再発行はできませんので、自身でコピーなどし、相続人となるご家族にお渡しすると便利です。

この「自筆証書遺言書保管制度」では、あくまでも保管する制度ですので、有効性などの保証はありません。

遺言書の様式は決まっています。また、財産目録は自書である必要はありませんが、通帳のコピーなどをとる時は紙の余白が指定されていたりと細かく決まっています。

遺言書の様式の注意事項については法務省HPを確認ください。(https://www.moj.go.jp/MINJI/03.html

「自筆証書遺言書保管制度」を利用できない場合

  • 病気などにより本人が法務局へ出頭できない場合は、利用できません(介添人同伴可能)

  • 顔写真付きの身分証明書を所持してない場合は利用できません。(マイナンバーカードは誰でも取得できるので、まず取得しましょう)

その他注意事項

  • 生前は本人のみが、「遺言書の閲覧」「遺言所の保管の撤回」「変更事項の届出」が可能です。

  • 相続人が「保管されていることの証明の請求」「遺言書の内容の確認」を行うのは遺言者が亡くなられている場合に限られます。

  • 原本は相続発生後返却されることはありません。あくまでも内容の確認となります。

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婚姻期間が20年以上の夫婦間で居住用不動産または居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合、基礎控除110万円のほかに最高2,000万円まで控除(配偶者控除)できるという特例。

個人から財産をもらったときにかかる税金。 会社など法人からもらった時は、所得税がかかります。 債務の免除や保険料を負担していない生命名保険金を受け取った場合なども贈与税になります。 参考サイト:国税庁HPhttps://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4402.htm

選択した贈与者ごとにその年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与を受けた財産の価額の合計額2,500万円まで控除されます。 (翌年2月1日から3月15日の間に申告必須) 前年以前にこの特別控除の適用が受けたことがある場合、2,500万円からその金額が控除されます。

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